脳と発達
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総説
Niemann-Pick病C型 (NPC)
—病態と診断・治療のポイント—
大野 耕策
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2016 年 48 巻 2 号 p. 81-88

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抄録

 Niemann-Pick病C型 (NPC) は, ライソゾーム脂質輸送蛋白質をコーディングしているヒト染色体18番のNPC1 (患者の95%) またはNPC2遺伝子の変異に伴う常染色体劣性遺伝の神経変性疾患である. この輸送蛋白質の機能不全により, 全身のライソゾーム内に遊離コレステロールが蓄積し, 特に脳神経細胞においてはスフィンゴ脂質が蓄積する.
 本邦では, 2015年12月時点で, 34例のNPC患者の生存が確認されているが, 西欧での発症頻度を勘案すると, その約5倍の数の潜在患者がいるものと推計される. NPCは診断法が確立しており, 本疾患に対する治療薬も承認されている. 発症早期から薬物治療を開始することで, 患者の神経症状の進行を遅らせることができるので, 日常診療において少しでもNPCを疑う症例に遭遇した場合は, 速やかに専門施設に紹介することが重要である.

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© 2016 一般社団法人日本小児神経学会
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