日本胸部疾患学会雑誌
Online ISSN : 1883-471X
Print ISSN : 0301-1542
ISSN-L : 0301-1542
99mTc-DTPAエアロゾル吸入法を用いた肺損傷評価に及ぼすエアロゾル気道沈着の影響
エアロゾル2回吸入法による間質性肺疾患症例における検討
石坂 彰敏金沢 実鈴木 幸男久保 敦司橋本 省三横山 哲朗
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 27 巻 9 号 p. 1053-1058

詳細
抄録

99mTc-DTPAエアロゾル吸入法は間質性肺疾患の肺損傷を99mTc-DTPAの肺からの移動率k (%/min) として推定するものである. 本研究では99mTc-DTPAエアロゾルの気道への沈着が末梢肺領域における肺損傷の推定に及ぼす影響を間質性肺疾患症例と健常非喫煙者で検討した. エアロゾルの末梢肺沈着率は新たに考案した99mTc-DTPAエアロゾル2回吸入法を用いて算出した. エアロゾルの末梢肺沈着率は健常非喫煙者で73.5±7.8% (n=4), 間質性肺疾患症例で75.5±9.2% (n=8) であり, 両群間に差を認めなかった. 末梢肺沈着率を補正して得られたkc (corrected k) の平均は間質性肺疾患症例で4.08±1.63%/minと健常非喫煙者の1.36±0.47%/minに比べて高値であった (p<0.01). また両群ともkcはkに比べて有意に高値であった (p<0.01). しかしkとkcの間に相関を認め (r=0.951; p<0.01), 対象とした間質性肺疾患症例と健常非喫煙者を99mTc-DTPAエアロゾル吸入法により弁別するに際し, エアロゾルの末梢肺沈着率を考慮する必要がないと考えた.

著者関連情報
© 日本呼吸器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top