1993 年 31 巻 2 号 p. 199-205
胸部に放射線照射を受けた15症例で, 99mTc-DTPA (diethylene triamine penta-acetate) エアロゾル吸入法を用い肺上皮の透過性を推定した. 肺上皮透過性の指標として胸部体外計測値の減衰より求めた移動率 (k) を用いた. 本法施行時すでに放射線肺臓炎を発症していた4症例では胸部X線上の陰影が出現した部位より得られたkが, 陰影が出現しなかった部位もしくは健常者のkと比べ高値を示した. 11症例においてはkを経時的に観察したが, うち3症例が放射線肺臓炎を発症した. この3症例では胸部X線写真により診断した時点に先行してkが高値を示した. 放射線肺臓炎を発症しなかった8症例のkは観察期間中変化を示さなかった. 本法により放射線照射による肺損傷の早期検出が可能であることが示唆された.