2023 年 90 巻 2 号 p. 285-297
本研究では、中学生の抱く文理意識を、学業的自己概念の一つとして位置づけて、学業仮説、選好仮説、ステレオタイプ仮説の3つの見方から、ジェンダー差が生じる理由を検討した。質問紙調査の計量分析によって仮説を検証した結果、学業仮説は十分な説得力を持たず、選好仮説は部分的に支持され、ステレオタイプ仮説は支持された。本研究の結果は、「男子の方が理系に向いている」のような文化的信念を無効化し、女子中学生が理系科目に対して好意的な態度を示しやすくなれば、「理系」の女子が増加する可能性を示唆している。