2014 年 50 巻 4 号 p. 107-114
単純重ね合せ接着継手を用いた接着剤のせん断強度の評価方法について検討した。接着剤としてエポキシ系接着剤とアクリル系接着剤を用いた。異なる被着体材料,被着体厚さ及び接着面積の試験片を用いて引張せん断及び圧縮せん断試験を行った。その結果,圧縮せん断試験において,試験片が座屈しない場合,その破断強度は接着剤のせん断強度とほぼ一致する。また,オイラーの座屈荷重を用いて,試験片が座屈する荷重と被着体厚さの関係を算出し実験結果と比較した。算出結果と実験結果はほぼ一致した。試験片内で接着面形状を回転することにより,接着層内の応力状態が異なる実験を行い,接着層内の応力状態によらず試験片の破断強度がほぼ一定になることを確認した。以上の結果から,圧縮せん断試験により試験片が座屈しない被着体厚さを算出し,これを満足する試験片により実験を行うことで,接着剤のせん断強度の評価が可能であることを示した