1973 年 1973 巻 4 号 p. 729-732
2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド=2-ベンゾチアゾリルピドラゾン(以下HNBHと略記する)を合成し,各種金属イオンとの反応性につき検討したところ,銅(II)がHNBHと錯体を形成しクロロホルム,ベンゼン,1,2-ジクロロエタンなどの有機溶媒に抽出されることを見いだし,銅(II)-HNBH錯体の生成ならび抽出につき基礎的な検討を行なって微量銅の定量方法を確立した。
銅(II)-HNBH錯体はpH 5.3~9.5でクロロホルムに定量的に抽出されて一定の吸光度を与え,その吸収曲線は波長426nmに極大を有した。銅濃度と吸光度の間には良好な直線関係が認められ,モル吸光係数および吸光度0.001に対する感度はそれぞれ2.2×104および2.9×10-3 ugCu/cm2であった。水銀(II),銀(I),ニッケル(II),チタン(IV),チオシアン酸塩,クエン酸塩,酒石酸塩は銅の定量を妨害した。
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