日本化学会誌(化学と工業化学)
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多核水酸化アルミニウム水溶液中の化学種
藤田 隆之北島 圀夫樽田 誠一田草川 信雄
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1993 年 1993 巻 4 号 p. 319-328

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抄録

多核水酸化アルミニウム水溶液中のアルミニウムイオン種に与える,OH/Al比および溶液濃度の影響を調ぺ,アルミニウムポリマー種の分画分子量とその化学組成を検討した。その結果,Al濃厚溶液中にはアルミニウムモノマーと重合度の異なる3種類のポリマーが存在した。これらのアルミニウムイオン種とその含有割合はOHIAl比に依存して連続的に変化し,OH/Al比が大きいほどモノマーが減少し,ポリマーの含有率が高くなった。また,これらの溶液を希釈後熟成すると,重合度の高いポリマーは消失し,相対的に重合度が低いポリマーが優勢となり,アルミニウムイオン種およびその含有割合は溶液濃度に依存することがわかった。限外騨過法で求めた3種類のアルミニウムポリマ一の見かけの分子量は,およそ,1900,12000,34000であり,その容積比率は1:6:18となった。希釈溶液中で優勢なポリマーの化学組成は13量体表示で表すと[Al13O1.97, (OH)31.37]3.69+と推定され,従来示唆されている[Al13O4, (OH)24]7+に比べ加水分解度が高く,有する陽電荷が小さいことがわかった。

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