工業化学雑誌
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粉体顔料の吸液量と空隊量との関係
久野 洋阿部 竜二
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1958 年 61 巻 11 号 p. 1445-1448

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抄録

粉体の空隙量と,その吸液量との関係,および吸液の機構を知るため,粘度および表面張力の異なる数種の液体を用いて,空隙量,粒径および組成の異なる数種の粉体について,吸液量および粉体に対する液体の浸透速度法による濡れを測定した。これより,粉体の吸液量は,ほとんどその空隙量によって支配され,ある限界値より大なる空隙量では,吸液量と空隙量とがほぼ比例し,この限界値以下では,空隙量と吸液量が一致することを知った。また限界値以上での吸液量は,液体の粘度ηまたはcosθ/η(ただしθは液と粉体との接触角)によって大きく影響され,液体の表面張力γおよび付着張力γcosθ との関係は明瞭ではなかった。粉体の吸液量に対する,これら空隙量の効果は,空隙の空孔の大きさによるものであって,吸液の機構は,液体の浸透によって,大きな空孔が満たされ,小さな空孔に空気を液体によって捕捉するものであると推論された。

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