工業化学雑誌
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次亜リン酸ナトリウム還元法によるニッケル・リン触媒の製法とその化合形態
佐田 進白崎 高保森川 清
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1968 年 71 巻 5 号 p. 626-631

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抄録

水溶液中でニッケル塩を次亜リン酸塩により還元して得られる黒色微粉末状触媒の製法と化合形態について研究した。製造はたとえばつぎのようにした。すなわち,次亜リン酸ナトリウム8g,水酸化ニッケル7gを含むpH12の分散液300mlをつくり,これを3lのビーカーに入れ,かきまぜながら温浴中で90~95℃に加熱し,触媒物質を沈殿として析出させた。触媒の化合形態の研究手段には化学分析,希塩酸への溶解性状,X線回折および熱分析などを用いた。その結果触媒の主要成分は無定形のニッケル(Ni)とニッケルリン化物(NixP)であることがわかった。この両者は希塩酸に水素を発生してとけるがNixPはNiより遙かに難溶性であった。この難溶性物質の見掛け組成は塩酸濃度により異なり,2N塩酸の場合はNi1.8P,0.5N塩酸の場合はNi2.2Pであった。触媒の主要成分(NiとNixP)の平均組成はNi4.5Pで,これを約350℃に加熱すると結晶性の金属NiとNi3Pの混合物に変化した。NiとNixPの共存状態はxの値が処理する塩酸の濃度により異なることなどから固溶状態にあると考えられた。その他不純物として水酸化ニッケルや亜リン酸ニッケルが存在することがわかった。

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