1970 年 73 巻 5 号 p. 892-895
塩化マグネシウムの電解における陰極電流効率の低下に対する酸化マグネシウムおよび酸化ホウ素の作用機構について検討した。酸化マグネシウムはマグネシウムの溶解度には影響しないので,その効果は浴中へのマグネシウム粒子の分散を引き起こすためと考えられる。このようなマグネシウム粒子の凝集の妨害は, 溶融塩中に分散した酸化マグネシウムがマグネシウム粒子の表面に吸着することによるものと推定される。
また, 酸化ホウ素の添加はマグネシウムの溶解度にほとんど影響がないうえ, これは陰極で電気化学的な還元もうけない。しかし, 酸化ホウ素はマグネシウムと反応してマグネシウムの損失をまねくばかりでなく, 反応の結果マグネシウム粒子の表面に酸化マグネシウムやホウ化マグネシウムなどを生成する。そのため, マグネシウム粒子の分散をも助長することになるので, マグネシウムの電流効率は大きく低下するものと推定される。
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