1968 年 89 巻 3 号 p. 263-266
ホウ化ニッケルは合成が簡単であり,水素化触媒としてすぐれていることが知られている。著者らはこの触媒の特性を明らかにする目的で,オレフィン,ケトン,アルデヒドの水素化を常温常圧で行ない,その選択性や活性に対するpHの影響を調ぺた。アルカリを加えることにより活性はかなり増大し,pH=10~12で最大になる。
ホウ化ニッケルの吸着水素量は,窒素雰囲気中でシクロヘキサンを溶媒としてスチレンと反応させ,生成するエチルペンゼンの量から算出した。その結果,この触媒は強吸着水素を持たず,約11ml/gNiの弱吸着水素をもつことがわかった。またこの弱吸着水素がケトンの水素化反応中に示す変化を広い濃度範囲にわたって調べた結果,ラネーニッケルの場合と同様に,ケトンの水素化反応速度の濃度依存性が,Langmuir-Hinshelwood機構により,吸着水素量を用いて説明できることがわかった。
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