化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
Print ISSN : 0386-216X
ISSN-L : 0386-216X
架橋液乾燥後に形成される塩類の固体架橋による付着力
遠藤 禎行向阪 保雄鬼東 秀則
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 20 巻 4 号 p. 542-548

詳細
抄録

工業的に用いられる粒子の多くは粒子間接触部に液架橋が形成され, またその架橋液中には塩類などの溶解性不純物が含まれていることが多い.そのような粒子の雰囲気の湿度が低下すると架橋液中の水は蒸発し, さらにある湿度以下になると塩類が結晶として析出して粒子間に固体架橋が形成される.
本研究ではNaCl, KCl, KNO3およびNa2SO4の水溶液によって2つのガラス球間に液架橋を形成させ, それを種々の湿度中においたときの固体架橋の引張り力を測定した.その結果、次のことが明らかとなった. (1) 粒子間の間隙を埋めるように均質に固体架橋が形成される場合, 固体架橋付着力は結晶析出前の液架橋付着力よりも1~2桁大きい, (2) 平均的な固体架橋付着力は結晶体積と粒子半径の積の1/2乗にほぼ比例する, (3) NaClおよびKClの塩は完全に再結晶する湿度以上では微量の水分を含むために, 雰囲気の湿度に応じて付着力が変化する (準固体的に).

著者関連情報
© (社)化学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top