2015 年 41 巻 2 号 p. 167-172
化石燃料の枯渇化が叫ばれている昨今,これまで利用されてこなかった低品位燃料の利用拡大が望まれているが,これらを有効に利用するためには燃焼促進を行う必要がある.そこで本研究では,マイクロ波による燃焼促進効果を調べるため,メタン–空気予混合火炎にマイクロ波を重畳し,その効果について検討を行った.その結果,生成ガス濃度分布から,すべての条件においてマイクロ波を重畳することにより,供給したメタンと酸素の消費速度が速くなるとともに,二酸化炭素の生成速度が速くなった.また,燃料過剰領域である当量比1.1では,二酸化炭素に加えて水素および一酸化炭素の生成速度が速くなった.これらのことから,マイクロ波を重畳することにより燃焼が促進されることが示された.分光器による自発光強度の結果から,燃焼反応過程で重要な役割を持つOHラジカルおよびCHラジカルは,燃焼火炎にマイクロ波を重畳することにより,燃焼ノズルから10 mmの位置において増加し,燃焼ノズルから25 mmの位置において減少した.このことから,燃焼火炎にマイクロ波を重畳することにより燃焼反応が促進され,火炎が短くなることが示唆された.