高分子論文集
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高分子側鎖のエポキシ基とノルボルナジエンカルボン酸クロリドとの付加反応による光エネルギー蓄積・変換高分子の合成とその光反応
岸 克彦亀山 敦西久保 忠臣
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1993 年 50 巻 3 号 p. 137-145

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抄録

ポリ (グリシジルメタクリレートーメチルメタクリレート) 共重合体とノルボルナジエン (NBD) -2-カルボン酸クリド類との付加反応を行い, 側鎖にNBD残基を有する光エネルギー蓄積・変換高分子を合成した. さらに, 得られたポリマーのUV光照射による光反応の検討を行った. その結果, フィルム状態での光反応では, ポリマー側鎖のNBD残基は照射時間15分で定量的に対応するクワドリシクラン (QC) 化合物へと異性化した. また, この光反応は波長依存性を有し, 異性化反応では320nmの光を, 逆異性化反応では258nmの光を照射した場合に最も効率よく進行することも明らかとなった. 次に, 溶液状態における光反応をジクロロメタン溶液中で行った結果, ポリマー側鎖のNBD残基はフィルム状態と同様に光照射により対応するQC化合物へと定量的に異性化した. また, 触媒としてテトラフェニルポルフィリンーコバルト (II) 錯体を用いた場合の溶液状態での逆異性化反応の検討を行った. その結果, NBDへの逆異性化速度は触媒の添加量を増加させるに従って増大した. また, この反応の速度と触媒の濃度との関係について検討を行った結果, いずれの触媒濃度においても原点を通る直線関係が得られた. このことから, ポリマー側鎖のQC残基の逆異性化の反応速度は触媒の添加量に対して一次であることも明らかとなった.

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