高分子論文集
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原著論文
3,9位で連結したカルバゾール環を主鎖に含むポリトリアリールアミン系共重合体の合成と評価
金 揆善糸井 裕亮兼橋 真二荻野 賢司
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2017 年 74 巻 6 号 p. 508-516

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抄録

高い熱的安定性,正孔輸送性をもつ高分子正孔輸送材料の開発のため,3,9位で連結したN-アリールカルバゾール単位および4-ブチルトリフェニルアミン単位を主鎖に含むポリアリールアミン系共重合体をPd触媒C-Nカップリング反応により合成した.合成した高分子の数平均分子量は,7.3から12 kg mol-1であり,クロロホルム,クロロベンゼンなどの溶媒に可溶であった.紫外可視光吸収スペクトルからカルバゾール単位を導入することにより最大吸収および吸収端波長が短波長シフトし,バンドギャップの増大が認められた.DSC測定からカルバゾール環の導入によりガラス転移温度の上昇(267°C)が観察され,高分子の剛直性が増大することがわかった.空間電荷制限電流(SCLC)特性から正孔移動度を算出したところ,カルバゾール単位の導入により移動度は向上し,上記の共重合体で1.5×10-5 cm2 V-1 s-1となった.

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© 2017 公益社団法人 高分子学会
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