2022 年 111 巻 5 号 p. 902-911
低ナトリウム(Na)血症は,日常臨床において最も一般的な水電解質異常である.急性/中等度~重度症候性の低Na血症のみならず,慢性/軽度症候性の低Na血症であってもADL(activities of daily living)や生命予後の悪化にかかわることが知られており,低Na血症を早期に認識し対応する必要がある.低Na血症の診断においては欧州ガイドラインの診断アルゴリズムが有用であるが,ただ機械的に使うのではなく,病態を理解することが重要である.特に高齢者に代表される,低Na血症に至る要因を複数有する患者では,診断アルゴリズムのみでは鑑別診断がつかないことも経験する.本稿では診断アルゴリズムに加えて「よくある病態」「見逃してはいけない病態」についても概説していく.