日本臨床免疫学会会誌
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第41回総会ポスター賞受賞記念論文
高安動脈炎疾患感受性HLAアレルおよびアミノ酸
寺尾 知可史吉藤 元三森 経世松田 文彦
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2014 年 37 巻 3 号 p. 166-170

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抄録

  高安動脈炎は本邦から報告された大動脈とその第一分枝を炎症の首座とする血管炎であり,若年女性に好発する.高安動脈炎の患者数は本邦で6000-10000人程度と推定されている.症例数の少なさが遺伝子解析の進展を難しくしているが,その遺伝因子としてはHLA領域の関連が最も知られている.HLA領域の中で,HLA-B領域が最も強く高安動脈炎の疾患感受性に関連する.HLA-B52:01は古くから知られた関連アレルである.HLA-B52:01以外の確たるアレルは同定されてこなかったが,近年,比較的まれなアレルであるHLA-B*67:01が疾患感受性に関連することが独立した二施設から報告された.また,疾患感受性に重要なアミノ酸が二カ所報告された.これら171番目と,67番目のアミノ酸はHLA-B分子のペプチド結合部位に存在しており,抗原結合の変化が高安動脈炎疾患感受性に重要であることが示唆される.これらの結果から,67番目のフェニルアラニンを持つHLA-B*51:01が高安動脈炎に関連を示さない理由が説明可能であると思われる.HLA-B領域以外の関連も示唆されており,さらなる解析が期待される.

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© 2014 日本臨床免疫学会
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