2019 年 85 巻 1 号 p. 30-39
連続熱供給式自記湧出量計およびLee-typeシーページメーターを用いて海底地下水湧出(SGD)量を測定した。山形県釜磯海岸では最大約200 cm/dayのSGDが確認され,陸域由来地下水の寄与率は最大で20%に上った。SGDの多い地点では他地点に比べて海水の栄養塩濃度が5-6 高く,SGDは釜磯海岸における硝酸および海藻の窒素安定同位体比にも強く影響していた。本研究ではSGDによる海域の栄養塩環境への影響が定量的に示され,また海底湧水に含まれる栄養塩が海藻に利用されていることを示す結果が得られた。