転移リンパ節に著明な石灰化を認めた稀な気管支腺型肺腺癌の症例を経験した. 患者は32歳男性, 検診の胸部X線写真で右肺の異常陰影を指摘された. 胸部conventionalCT上右肺門から両側縦隔に及ぶ比較的均一な石灰化リンパ節を認めたが腫瘍には石灰化を認めなかった. Thin slice CTにて腫瘍の微細な石灰化とリンパ節の石灰化が微細で不規則であることがわかり腫瘍のリンパ節転移を疑い右中下葉切除及び両側縦隔郭清を行った. 病理では腫瘍は砂瘤体を伴う気管支線型腺癌であり, 切除した石灰化リンパ節の全てに腫瘍の転移を認めた. 肺の腫瘤性病変や所属リンパ節の石灰化を認めた場合その診断を考えるうえで極めて興味深い症例であった. 肺癌症例における石灰化リンパ節の取扱いに関して多くの示唆を与える症例と考え報告した.