肺癌
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症例
ペムブロリズマブ長期奏功後に肺胞出血を呈した肺扁平上皮癌の1例
四十坊 直貴角 俊行澤井 健之山田 裕一計良 淑子中田 尚志森 裕二高橋 弘毅
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2020 年 60 巻 4 号 p. 353-357

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抄録

背景.免疫チェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブは非小細胞肺癌に対する標準治療として用いられているが,免疫チェックポイント阻害薬使用による肺障害(checkpoint inhibitor pneumonitis:CIP)の報告が散見される.症例.78歳,男性.全身CTで左舌区に腫瘤影を認めた.精査の結果,肺扁平上皮癌cT2aN2M1a,Stage IVA,PD-L1 tumor proportion score 5%と診断し,初回治療としてカルボプラチン+ナブパクリタキセルを開始した.病勢増悪後は2次治療としてペムブロリズマブを開始し,完全奏功が得られた.ペムブロリズマブ開始64週後に労作時呼吸困難が出現した.胸部X線写真,胸部CTでびまん性のすりガラス影を認め,CIPを疑った.気管支肺胞洗浄液の性状から肺胞出血と診断し,ペムブロリズマブは中止しステロイドパルス療法を施行した.ステロイド治療開始後,すりガラス影は改善した.ステロイド漸減後も再燃なく,ペムブロリズマブ中止後も肺癌の病勢悪化はない.結論.ペムブロリズマブ長期奏功後に免疫関連有害事象として肺胞出血を認めた.免疫関連肺障害は投与早期の発症が多いが,長期奏功中の発症もあるため注意が必要である.

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© 2020 日本肺癌学会
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