日本水処理生物学会誌
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環境ホルモン様物質の好気性及び嫌気性汚泥による生分解特性
小川 浩北村 英之宮田 直幸岩堀 恵祐
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2005 年 41 巻 2 号 p. 83-92

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抄録

下水処理施設や合併処理浄化槽の流入水中に含まれている外因性内分泌攪乱化学物質 (EDC) について、実績濃度値から添加条件を設定し、活性汚泥及び嫌気性汚泥による生分解試験を試みた。17 β-エストラジオール (E2) は反応開始直後に90%以上が活性汚泥に吸着され、反応開始後72時間で定量下限値未満 (N.D.) まで低下した。ビスフェノールA (BPA) 及びノニルフェノール (NP) もMLSS濃度が高いほど汚泥に吸着され、生分解率はBPAが72~99%、NPが59~90%であり、これらEDCの生分解反応は1次反応に従うことが明らかとなった。一方、嫌気性汚泥による生分解試験では、E2、BPA及びNPの分解がほとんど認められなかった。また、フタル酸エステル類 (PAE) のうち、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル (DEHP) 及びフタル酸ジ-n-ブチル (DBP) の好気性分解試験では、分解の進行に伴い、中間代謝物としてフタル酸モノエチルヘキシル (MEHP)、フタル酸モノブチル (MBP)、さらに、フタル酸 (PA) の生成が確認された。

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© 2005 日本水処理生物学会
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