日本呼吸器外科学会雑誌
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特異な進展形式を示した腎癌転移性気道腫瘍の1手術例
佐久間 康成遠藤 俊輔長谷川 剛山本 真一手塚 憲志齊藤 紀子山口 勉村山 史雄蘇原 泰則
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2001 年 15 巻 4 号 p. 506-509

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抄録

右上葉気管支内腔に限局し, 充満性に発育した腎癌の転移性気道腫瘍に対し右上葉管状切除術を施行した1例を報告する.
症例は, 53歳男性で, 喀血, 腫瘤の喀出を主訴に外来受診した.既往歴では, 8年前に左腎癌にて腎摘出術を行なっていた.
気管支鏡では, 疣贅状の腫瘤が右上幹入口部を完全に閉塞し, 一部主幹に突出していた.喀出した腫瘤の組織診で, 腎癌の転移性気道腫瘍と診断した.全身検索の結果, 局所再発, 多臓器転移を認めず右肺上葉管状切除術, 縦隔リンパ節郭清を施行した.
病理組織では, clear cell carcinomaが右B1, B2の気管支内腔に限局し, 充満するように発育していた.術後5年再発徴候は認められない.
転移性気道腫瘍としては, 腎癌は多く報告されているが本例の如く, 肺実質内への侵襲がなく気道内腔に広汎に発育した特異な転移形式を認めた症例は珍しく文献的考察を加え報告する.

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