魚病研究
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蛍光標識アビジン・ビオチン抗体法のBKDキャリヤー検索への応用について―FAT間接法との比較
吉水 守紀 栄興佐見 学木村 喬久
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1988 年 23 巻 3 号 p. 171-174

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抄録

 サケ科魚類の細菌性腎臓病(BKD)原因菌キャリヤーの的確かつ迅速な診断へのFITC標識アビジン・ビオチン抗体(ABC)法の導入を検討し以下のような結論を得た。1. 従来のFAT間接法に比し蛍光発色度はABC法で約1.5倍となり,かなりの発色増強効果が得られた。2. 飼育魚の腎臓塗抹標本を用いてのABC法と従来のFAT間接法によるR. salmoninarumの検出率の比較では,観察時間を3分間とした場合ABC法でFAT間接法の約1.5倍,また従来と同様100視野観察時の比較ではABC法で従来法の約1.4倍となり,蛍光発色度の増強が観察時間を区切った場合の検出率により強く反映された。3. ABC法では蛍光発色度が増加することにより,非特異蛍光も必然的に増加することが予想される。本法の導入に際しては使用する抗血清の反応特異性を前もって十分検討し確認しておく必要があろう。

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