日本植物病理学会報
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カンキツかいよう病菌の拮抗細菌(Pseudomonas sp.)接種カンキツ葉組織内に生成されたファイトアレキシン様物質
太田 孝彦
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1983 年 49 巻 5 号 p. 676-682

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抄録

拮抗細菌(Pseudomonas sp.)によるかいよう病発病抑制機作を明らかにするため,拮抗細菌を接種したカンキツ葉に生成されるファイトアレキシン様物質について検討した。拮抗細菌を単独およびかいよう病菌と混合して接種した葉からの粗抽出液(A-ex, AX-ex)は,かいよう病菌単独接種葉からの粗抽出液(X-ex)および水処理葉からの粗抽出液(W-ex)に比べて著しく強い抗菌力を示した。A-exから薄層クロマト法によって単離した2種類の抗菌性物質,CLP-3およびCLP-5はかいよう病菌よりも拮抗細菌の増殖を強く阻害することから,ファイトアレキシン様物質と思われる。これら2種類の抗菌性物質はA-exおよびAX-exに多量に含まれていたが,X-exおよびW-exには極めて微量であった。これらの結果から,拮抗細菌がかいよう病の発病を抑える機作の1つとして,拮抗細菌の侵入後組織内に生成されるファイトアレキシン様物質が深く関与していることが考えられる。

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