日本植物病理学会報
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Septoria steviaeに起因するステビアの斑点病
石破 知加子横山 竜夫谷 利一
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1982 年 48 巻 1 号 p. 34-43

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抄録

天然甘味料植物ステビア(Stevia rebaudiana)には7月初旬頃より,その下位葉に斑点性病害が発生し,漸次上位葉に拡がる。病斑部からはSeptoria菌(分生子殻50∼92×50∼100μm,分生子25∼63×1.5∼2.8μm, 0∼5隔壁)が検出され,表面殺菌した極小病斑部を糸状菌分離用寒天培地に置くと,常にSeptoria菌が分離された。接種試験の結果,本菌はステビアにのみ病原性を示したが,供試した他のキク科植物には感染しなかった。PSA培地上で分離初期には分生子殻を形成したが,培養後期には伸びの早い黒色のセクターおよび分生子を形成しない白色のセクターの2つのタイプに分離した。本菌のPSA培地およびステビア葉煎汁寒天培地での生育最適温度は25Cで,PSA培地上での生育最適pHはpH 5.5∼7.0の範囲であった。ステビアの栽培圃場の周辺に生育するセイタカアワダチソウおよびヒメジョオン上にそれぞれS. solidaginicolaおよびS. erigerontisに起因する斑点性病害が7月初旬より発生する。しかし,両病原菌を分離してステビア上のSeptoria菌との異同を比較したところ,S. solidaginicolaは明らかに形態的に異なっており,S. erigerontisは形態的にやや類似するが,ステビアには病原性がなく,かつ培地上の性質も明らかに異なった。以上の結果から,本病はSeptoria sp.によって生じる新病害であり,ステビアの斑点病とした。病原菌は新種として記載し,Septoria steviae, sp. nov.と命名することを提唱した。

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