作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
研究論文
長期入院統合失調症者の社会機能に陰性症状が与える影響
~失快楽症,非社会性,意欲の低下,感情鈍麻,言語の貧困と社会機能との関連~
岡田 宏基平野 大輔谷口 敬道
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 39 巻 3 号 p. 292-300

詳細
抄録

本研究の目的は,陰性症状の5つの因子である失快楽症,非社会性,意欲の低下,感情鈍麻,言語の貧困と社会機能との関連を検討することである.分析対象者は当院に入院する長期入院統合失調症者51名であった.従属変数を精神障害者社会生活評価尺度下位項目,独立変数をBrief Negative Symptom Scaleの下位項目とし,Spearmanの順位相関係数および重回帰分析にて分析した.結果,日常生活,労働には意欲の低下,対人関係には非社会性,感情鈍麻が有意に寄与していた.自己認識についてはどの因子とも関連していなかった.陰性症状の中でも意欲の低下,非社会性,感情鈍麻の改善に取り組むことが,退院支援に向けて有用であることが示唆された.

著者関連情報
© 2020 一般社団法人日本作業療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top