2018 年 35 巻 3 号 p. 675-683
成人てんかん患者143例の発作間欠期のパーソナリティ傾向についてRevised NEO Personality Inventory(NEO-PI-R)を用いて検証した。T-scoreで神経症傾向の「不安、抑うつ、傷つきやすさ」が高く、誠実性の「コンピテンス」が低かったが、一般成人標準との比較において1標準偏差を超える著しい偏位はなく、側頭葉てんかん(TLE)と側頭葉外てんかん、TLE患者の焦点の左右差による有意差はなかった。40例で施行されたベック抑うつ質問票スコアはNEO-PI-Rの神経症傾向とそのすべての下位項目、開放性の「空想」で正の相関を、調和性および誠実性の「コンピテンス」で負の相関を認めた。てんかん患者全体に一貫したパーソナリティ傾向や焦点局在による差異はなかったが、併存が多いとされる抑うつがてんかん患者のパーソナリティの評価に影響する可能性があった。