日本集中治療医学会雑誌
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原著
国際栄養調査から見える本邦ICUにおける栄養療法の現状と問題点
東別府 直紀讃井 將満祖父江 和哉佐藤 武揚塩塚 潤二水野 篤安田 英人三宅 健太郎徳平 夏子井澤 純一Daren K. Heyland
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2014 年 21 巻 3 号 p. 243-252

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抄録

【目的】International Nutrition Survey(INS)は,カナダ・クイーンズ大学のHeylandが中心となり行われている,世界のICUを対象とした栄養療法に関する調査である。本邦の9施設が参加した2011年INSの結果をもとに本邦ICUの栄養療法の現状を把握し,問題点を明らかにした。【方法】対象は人工呼吸を受けた成人患者,調査項目は栄養の投与量,内容,開始時期などであった。本邦の結果を他のアジアおよび世界の結果と比較した。【結果】本邦は,エネルギー充足率,蛋白質充足率,栄養投与率などほとんどすべての面でアジアや世界の平均を下回り,経腸栄養開始時期も遅かった。【考察】本研究は,本邦ICUにおける栄養療法の問題点を示唆しただけでなく,参加施設が栄養療法を把握するための良い機会となった。次回のINSには,より多くのICUの参加を募り,本邦の栄養療法改善の契機としたい。

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© 2014 日本集中治療医学会
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