日本臨床外科学会雑誌
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出血を呈した大網肉芽腫 (Braun腫瘤)の1例
伊神 剛長谷川 洋小木曽 清二坂本 英至柴原 弘明太平 周作森 俊治上原 圭介服部 弘太郎水野 隆史杉本 昌之
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2001 年 62 巻 9 号 p. 2292-2297

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抄録

症例は87歳の男性で,前立腺癌でホルモン療法中であった.悪心,嘔吐で他院に入院中であったが,腹痛とともにショック状態となり当院へ搬送された.来院時には血行動態は安定していたが, Hb7.4g/dlと著明な貧血を認めた.腹部造影CTで胃壁外に接して造影効果のある腫瘤性病変を2個と腹腔内出血を認めた.緊急血管造影検査を施行したが,明らかな造影剤の漏出像は認めなかった.超音波内視鏡で胃壁に接する腫瘤性病変を認め,胃壁外性腫瘍の診断で,手術を施行した.開腹時に血性腹水を認め,腫瘤は胃壁に接するように2個存在していた.腫瘤を含めた胃部分切除術を施行した.割面では胃壁との連続性は認めず,組織学的所見では出血壊死に陥っており,肉芽腫 (Braun腫瘤)と診断された.腫瘤の存在部位から壊死性リンパ節炎が肉芽腫へ変化したと考えた.出血を呈した大網肉芽腫は自験例が第1例目であった.

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