日本臨床外科学会雑誌
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胃腺扁平上皮癌の6例
河野 文彰関屋 亮篠原 立大中平 孝明中島 健鬼塚 敏男
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キーワード: 胃癌, 胃腺扁平上皮癌
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2004 年 65 巻 1 号 p. 87-92

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抄録

当科で経験した胃腺扁平上皮癌6例について報告し,臨床病理学的に検討した.発生頻度は全胃癌症例652例のうち0.91%であった.平均年齢は75.7歳,男性5例,女性1例であった.腫瘍の肉眼型は3型が4例, 2型が1例, 4型が1例と潰瘍形成型が多く,腫瘍径は平均10.2cmで4例においては全周性の発育を認めた.壁深達度はT4が3例, T3が2例, T2が1例で,全例2群以上の肉眼的リンパ節転移を認めた.手術術式は5例に胃全摘術, 1例に幽門側胃切除術が施行されたが,根治度Aのものはなく, 3例においては腹膜播種,癌遺残を認め根治度Cとなった.予後は4例が術後1年3カ月以内に再発死亡しているが,他病死したものの2年4カ月無再発と比較的長期生存例もあった.病理組織学的には原発巣は混在型を呈しており,一部に中・低分化型腺癌から扁平上皮癌への移行像を認めた.腺癌の扁平上皮癌化生説を支持するものと考えられた.

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