脳卒中
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脳血管障害における血清過酸化脂質の研究
シアル酸の影響を受けない新しい比色測定法によって
佐藤 敬高松 滋作田 茂水野 成徳目時 弘文
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1979 年 1 巻 4 号 p. 313-318

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抄録

シアル酸の影響を除外した特異的な血清過酸化脂質の比色測定法を開発し, 脳血管障害後遺症患者117例と, 健康人129例の血清について測定を行った.新しく確立された方法においては, 低濃度の酸を溶媒として, 硫酸ナトリウムの存在下でTBA反応を行うことがシアル酸の影響を除外するうえで重要と考えられた.本法によって測定した血清過酸化脂質は, 健康人では加齢とともに高値となり, 49歳以下と50~59歳及び60歳以上との間には有意差が認められた.脳血管障害患者の値は, 脳梗塞例, 脳出血例ともに健康人より高く, その差は60歳以上を除いて明瞭であった.また, 血清tocopherolとの間には, 健康人において有意の負の相関関係が認められた.これらの結果は, 老化や動脈硬化性疾患における過酸化脂質の重要性を示すものと考えられる.
シアル酸の影響を除外した血清過酸化脂質の比色測定法を開発した.本法は特異的で, 血清過酸化脂質を正確に測定することができる.
本法によって測定した血清過酸化脂質は, 健康人では加齢とともに高値となり, 脳血管障害患者の値は健康人に比べて高かった.これらの結果は, 老化や動脈硬化性疾患における過酸化脂質の重要性を示すものと考えられる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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