日本透析医学会雑誌
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長期CAPD患者における中皮細胞層と腹膜機能検査の関係
渡辺 修一岩永 伸也佐藤 順一石井 健夫小倉 誠中山 昌明木村 靖夫細谷 龍男平野 宏川口 良人
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2001 年 34 巻 12 号 p. 1485-1490

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抄録

長期CAPD患者の腹膜生検によるperitoneal mesothelial cell layer (PMCL) の有無と生検時より2か月以内に施行したperitoneal equilibration test (PET) およびcharge selectivity index (CSI) について検討した. 生検を実施した40例を対象とし, 組織所見にしたがい, 正常群9例, PF (M+) 群: 腹膜線維症でPMCLが存在する群14例, PF (M-) 群: PMCLがない群11例, PS群: 腹膜硬化症群6例に分類した. PETに準じて, 2.5%透析液2Lを4時間腹腔内に貯留し中間点で採血し, 血中 (P) と排液中 (D) のglutamine (Gln), glutamate (Glu), lysine (Lys), creatinine (Cr) を測定しD/P比を求め, さらに, D/D0 glucose ratio (D/D0) およびCSI {CSI (Glu/Gln): GluのD/P比÷GlnのD/P比, CSI (Lys/Gln): LysのD/P比÷Gln D/P比} を算出した. 透析期間は, 正常群6.7±6.6, PF (M+) 群23.8±21.9, PF (M-) 群40.9±22.8, PS群95.3±23.7 (月) で, 正常とPF (M+) 群およびPF (M-) とPS群に有意差を認めた. D/P (Cr) は, 正常群0.537±0.138, PF (M+) 群0.595±0.116, PF (M-) 群0.650±0.084, PS群0.825±0.082. D/D0では, 正常群0.456±0.106, PF (M+) 群0.417±0.074, PF (M-) 群0.348±0.052, PS群0.251±0.051. CSI (Glu/Gln) では, 正常群0.571±0.112, PF (M+) 群0.529±0.161, PF (M-) 群0.765±0.084, PS群0.957±0.069. CSI (Lys/Gln) では, 正常群0.813±0.070, PF (M+) 群0.814±0.069, PF (M-) 群0.886±0.054, PS群0.981±0.048で, PETおよびCSIともにPF (M+) とPF (M-) 群およびPF (M-) とPS群に有意差があり, 正常群とPF (M+) 群には有意な差はなかった. PMCLはCSI (Glu/Gln) が0.633以下で全例に存在し, 0.735以上では存在せず, D/D0が0.447以上で全例に存在し, 0.330以下では存在しなかった. PMCLの有無は, PETおよびCSIに影響することが示された.

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