本研究の目的は,これまでデータの不足から数値的裏づけがないままに議論されてきた「Uターン」移動の実態を解明することである.居住経歴および移住の理由などを質問項目とするアンケート調査を長野県内の13の高校を卒業した3世代の男子卒業生に対して行い,調査結果を分析したところ,まず世代が若くなるほど,三大都市圏にいったん他出した者の「Uターン」傾向が強まることが確かめられた.また「Uターン」者の多くが長野市などの県内中心都市ではなく自らの出身市町村に向かっており,その傾向は徐々に強まっていることがわかった.一方「Uターン」の実行,非実行は続柄や学歴に影響を受けるものの,妻が長野県出身であるかどうかにより大きく左右されている.「Uタ一ン」実行に伴う障害は長野県での職の不足や収入の低下であり,また最初の就職から5~8年以内に帰還する「Uターン」者が大半であることがわかった.