2013 年 62 巻 4 号 p. 726-731
骨粗鬆症を伴う胸腰椎の椎体骨折に対する後方固定の問題としてPedicle Screw(以下PS)の緩みや脱転がある.Cortical Bone Trajectory(以下CBT)は新しい椎弓根スクリューの挿入法で,引き抜き強度はPSの1.3倍と言われる.今回,胸腰椎の椎体骨折患者にCBTを併用した後方固定術を行い,短期ではあるが良好な結果が得られたので報告する.対象は3例(男性2例,女性1例).手術時平均年齢は81.3歳(76歳-89歳).術後追跡期間は平均6カ月(5-7カ月).罹患高位はそれぞれ第12胸椎と第1腰椎,第3腰椎,第12胸椎であった.症状は腰痛による体動困難であった.下肢の痺れを1例に認めたが,筋力低下を示す症例は無かった.手術は後方もしくは後側方固定術を行った.胸椎に対してはPS,腰椎に対してCBTを用いて固定した.全例とも術後腰痛は軽減し,満足な結果を得た.