日本セトロジー研究
Online ISSN : 2434-1347
Print ISSN : 1881-3445
和歌山県および大分県から報告されたナガスクジラ科鯨類標本の再検討
大石 雅之和田 志郎山田 格今原 幸光
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2009 年 19 巻 p. 1-8

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抄録

近年、ツノシマクジラBalaenoptera omurai Wada, Oishi et Yamada, 2003が新たに記載された際に、いわゆるニタリクジラBalaenoptera edeni Anderson, 1878/9はカツオクジラB. edeni と狭義のニタリクジラBalaenoptera brydei Olsen, 1913 に分けられることが指摘された。筆者らによる台湾やタイなどの調査では、これら3 種の中型のナガスクジラ科鯨類が多数存在することがわかっているが、比較できる標本が増えたことで、頭頂部の形態学的特徴に加えて、翼蝶形骨周辺の脳頭蓋側面の形態でも3種が明瞭に識別できることがわかってきている。和歌山県立自然博物館と大分県杵築市立図書館には、かつていわゆるニタリクジラB. edeniとして報告されたナガスクジラ科鯨類標本が保管されているが、カツオクジラB. edeni のホロタイプを含む既報告の標本の頭頂部と翼蝶形骨の形態の比較により、これらの標本はカツオクジラB. edeniであると判断される。

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© 2009 日本セトロジー研究会
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