2001 年 34 巻 2 号 p. 83-90
膵管状腺癌97例に対して, p53および腫瘍血管新生の評価としてCD34の免疫染色を行い, p53 labelling index とintratumoral microvessel density (IMD) を求め, 予後および臨床病理学的因子との関連, について検討した. 単変量解析では腫瘍部位, ts, v, ne, pw, stage, p53蛋白発現, IMDの8因子が有意で, 多変量解析ではpwとIMDの2因子が独立した予後因子であった (p<0.05). 肝再発および臨床病理学的因子との関連ではp53蛋白発現とIMDのいずれも術後肝転移率およびv因子と有意に相関した (p<0.05). またp53蛋白発現とIMDの間にも有意な相関を認めた (p=0.0004). 以上より膵管状腺癌ではp53の異常が腫瘍血管新生と静脈浸潤を促進し, 術後肝転移に影響している可能性が示唆された.