教育心理学研究
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分散学習の有効性の原因
再活性化量の影響の実験的検証
水野 りか
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1998 年 46 巻 1 号 p. 11-20

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抄録

本研究の目的は, 反復プライミングの原理を応用して分散効果の再活性化説を検証することにある。この説の基本的仮定は, 後続提示時の作業記憶ないしは長期記憶の再活性化量 (いずれが再活性化されるかは提示間隔によって異なる) が分散効果の大きさを決定するというもので, この再活性化量は, 先行提示時に活性化された記憶が提示間隔内で減衰する分散提示で連続提示より大きくなるはずだからである。反復プライミングの原理とは, 後続刺激の処理時間は先行刺激の活性度と反比例するというもので, ゆえに, 後続刺激の処理時間はまさに再活性化量を反映しうると考えられた。提示間隔を独立変数とした実験では, 各刺激の語彙判断時間と自由再生率が測定された。その結果, 再活性化量の指標としての語彙判断時間と再生率には有意な相関があり, また, 提示間隔によって, 作業記憶が再活性化される場合と長期記憶が再活性化される場合があることが示された。これらの結果はみな再活性化説を支持するものであった。

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© 日本教育心理学会
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