2010 年 36 巻 1 号 p. 73-76
近年,多くの施設で咽喉食摘術に対して遊離空腸移植術が第一選択とされ,安定した成績が得られるようになってきた。当院の遊離空腸移植術の術後合併症について検討したので報告する。
対象:2002年12月から2008年12月までの6年間に当院で咽喉食摘術に対して遊離空腸移植術を施行した90症例を対象とした。内訳は年齢41~85歳(中央値65歳),男性78例,女性12例であった。
結果:術後合併症がみられたのは48症例(53%)であった。晩期合併症である気管孔狭窄19例(21%),吻合部狭窄12例(13%),腸閉塞8例(9%)を多く認めた。縫合不全は2例(2%)に認めた。空腸壊死は1例(1%)に認めた。
結語:遊離空腸移植術は安全な術式であるとされているが,晩期の気管孔狭窄,吻合部狭窄,術後腸閉塞は多く認められ長期の経過観察が必要と考えられた。