日本ロボット学会誌
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車輪型移動ロボットのための走行モジュール
金山 裕油田 信一高田 雅行飯島 純一
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1984 年 2 巻 5 号 p. 402-416

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抄録

本論文は, 自立型移動ロボット山彦9号の走行モジュールに関するものである.コンピュータシステムにおいてはモジュール化の概念が極めて重要であるが, このことはロボット設計においても同様である.山彦9号はハードウエアの面でも, ソフトウエアの面でも, モジュール化が図られている.
走行モジュール (LM) はROM, RAM, 2個のタイマ, シリアルインターフェイス, モータ, モータ駆動回路, シャフトエンコーダをもつ独立したマイクロコンピュータシステムであり, PWS方式の台車の移動を制御する.LMは山彦9号の頭システム (BR) とシリアル通信を介して情報交換を行い, BRの奴隷として働く.LM-BR間のインターフェイスとしてコマンド体系が定義されている.それはBRからLMへ送られる移動動作等を指定するコマンドと, LMからBRへ送られる (内部状態を知らせたり, コマンド終了のタイミングを知らせるための) 応答から成っている.移動コマンドはLMの両輪の速度を指定し, それによりLMは所望の軌を跡描き, かつコマンドが指定する終了条件が満たされると動作を終了する.
LMのソフトウエアは次の3部分から成る.
(1) 移動制御プロセス
(2) モータサーボプロセス
(3) 通信制御プロセス
第1と第2のプロセスは5ms毎に呼ばれ, 実時間で規則正しい処理をし, 第3のプロセスは非同期的に起こるBRとの間の双方向通信を司る.移動制御プロセスは速度計算や終了条件判定を行う.
最後には実験結果とLMプログラミングの例が含まれている.

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